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向かい風につき、砂埃が舞っている。

公園内は思いのほか地面が乾燥しており、風が吹くと砂埃が舞う。
『向かい風』これほど、砂の地に厄介なものは無かろう。
それは隣の春花ちゃんにとっても同じだろうが、正直に言えば知ったことではない。
小学校の低学年ぐらいだろうか、子供たちがキャッチボールをしているなか、颯爽と中心に向かって歩いていく。
そして周りを見渡すと思った以上に桜が咲き乱れており、周囲そのものが桜の壁、上から見れば桜のコロシアムといったところだろうか。

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ウォーキングサークルのリーマンを思い出す。

二人とも相変わらず無言のまま道を進んでいく、ウォーキングサークルのときにリーマンが隣にいたあの時をふと思い出してしまうほどだ。
スーパーの前は多くの買い物客が出入りしている、今が一番混雑する時間帯であろう。
「スーパーにもよって行きたいところだけど、暗くなるまえにクラクラ公園の中を下見しようか」
「はい」
話掛ける時は常にこちらからってのも何だかなあ~。
僕らは、こうしてすぐ近くのクラクラ公園の中へと足を踏み入れた、このときには16時チョット前である。

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クラクラ公園前スーパーを確認

やっとクラクラ公園前駅へ到着した。
電車のドアが開いていく瞬間はまるで自由へ開放されるための扉に見えたほどだ。
これほど時間が長く感じる電車内も珍しい、早足でドアをでてホームから出口への階段を上がっていく。
やはり週末の駅の階段というものは狭苦しい、上がるしんどさも倍増といったところだが、春花ちゃんとの会話の反応の悪さがそれを麻痺させ疲れというものが感じない状態である。
出口を出ると100メートルから200メートルぐらい先だろうか、クラクラ公園前スーパーが視界内で確認できた。

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しかし目の前のつり革を引っ張っている力は僕が一番強いだろう

『揺ぎ無い決意』な~ていうと格好良く聞こえるが、今のこのパターンではチョット揺いで欲しい。
春花ちゃんの最後の「はい」から会話が俄然と途切れたままだからである。
電車のなかは、先ほどのサクサク公園の時のように家族やカップルが楽しそうに話をしている。
まるで人間関係のオーラを放っているかのようにも見え、比べてこちらがわはそのオーラがない。
しかし目の前のつり革を引っ張っている力は僕が一番強いだろう、なんというか間が持たないことのストレスのはけ口を物理的なものへと向かっている。

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サクサク公園の感想を聞いてみる

駅に着いてからは手際よく、そして迅速に電車に乗り込む。
幸いクラクラ公園前駅へは15分で着く、さて問題は15分という微妙な間隔である。
これが10分なら沈黙のみでも間が持ちそうだし、20分なら沈黙のみでも何かがおかしい様な気がする。
そして15分という間隔は何とも迷ってしまうものである、もはや春花ちゃんとのお喋りはあまり乗り気ではないが一応声を掛けてみる。
「どうだったサクサク公園は?」
「すごい桜が沢山あって良かったです」
「じゃあ次のクラクラ公園と見比べてみよう」
「はい」
予想通りとは言え、事務的な会話の例を挙げよ、の模範解答のような流れ。
春花ちゃんの方からは何がなんでも、会話をする気はないぞという揺ぎ無い決意を感じる。

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サクサク町駅はすぐ見えてきた

急ぎ足の甲斐もあってか、サクサク町駅はすぐ見えてきた。
ラストスパートとばかり、さらに急ぎ足を加速させる。
それでも春花ちゃんは、やはりきちんと付いて来れている。
内心はこの加速により春花ちゃんとの距離が離れてしまったらどうしようかという、どうでもいいような恐れを抱いていたが、あまり意味がなかった。
本音を言えば、このまま距離が離れていって、許されるものならクラクラ後援は一人で下見に行きたいというのも心の片隅にあったのだろう。

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サクサク町駅へ一直線

サクサク公園を出てからは、サクサク町駅へ一直線だ。
まるで短距離走の、ただただ直線的な進みのように、速く真っ直ぐである。
もちろん、実際は多少曲がってはいるが、それでも最も近い距離の辿りはまるで定規を引いたかのような直線的な進行の感覚を与えてくれる。

「春花ちゃん、急ぎ足でこめんね。若干時間が詰まってきたから」
「大丈夫ですよ」
横の春花ちゃんも意外にきちんと、ついて来れている。
もっとも歩きやすい軽装なので、そこまで気を使う必要もないようにも見えるが。

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