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巨大な傘のような枝垂桜(シダレザクラ)

桜はもとより、自動販売機などサクサク公園内の大半の場所は確認できた。
「春花ちゃん、大体の場所は分かったから、今度はクラクラ公園前駅に行こうか」
「はい」
気づけば、もう15時をまわっている。
歩いてきたサクサク公園の出入り口のほうに目をやると、花びらの生えている部分の枝が長くしな垂れている、その名の通りの枝垂桜(シダレザクラ)が立っていた。
遠目で観察すると、まるで大きなピンクの傘のようである、ドーム上にすっぽり囲んでいるようにも見えるし、きっと真下だとさぞかし桜満開で上だけならず横の景色も堪能出来るであろう。

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桜の下見が、お手洗いの下見と

あとは、お手洗いの下見である。
希望に満ち溢れた鮮やかな「桜の下見」とは、なんとも対照的な「お手洗い」もっと現実的な表現で言えば便所の下見である。
しかしこれがまた結構な重要項目であった。
そして一瞬もしかして、木造かつ和式しかないのでは?と嫌な予感がよぎる。
それと自販機もである、何が悲しくてお花見の下見中にお手洗いやら自動販売機の下見までしなけてばいけないのかという思いに駆り立てられながら、公園内の地図を見る。
把握してそこへ移動し、行きかたなどを覚える。こんな感じであった。

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手持ち沙汰により、周りの桜を撮ってみた

それにしても、やはり週末のためかあっちこっちに人混みが多い。
我々と同じく、職場のイベントの一環としての花見の下見をしているのだろうか。
もちろん普通のカップルも多い、花見の名所だけに外国人の見物客もかなり多い。
いずれにせよ、皆お互いに楽しそうに喋っており、ずっと黙りっぱなしの我々としては少々気まずい気分となる。

ここでスマートフォンを取り出し、周りの桜を撮ってみた、あまりにも沈黙が多くて手持ち沙汰になったからである。

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寒冷なる時点から咲き始める寒緋桜(カンヒザクラ)

それは一言でいうと緋色だらけであった、その緋色に咲き乱れる様は圧巻である。。
他の桜は、どちらかというと白々とした色合いの花びらをもつものが多いが、いま目に前にあるそれは、兎にも角にも緋色であった。
そして、その名札には寒緋桜(カンヒザクラ)と書かれていた。
「寒緋」の名の通り、暖かさのくる前の寒い段階で咲く桜、緋色の桜という意味である。

「おっ寒緋桜かあ~、すっごいピンクだね~、これ。」
「ですね~、すごーい。」
「たしか、台湾や中国にも分布してるんだよ。」

だるそうに下にしなだれているのは、一体何故だろうか?
もしかしたら、寒い段階に咲いたのでそれで体力を消耗して、だらけているのかもしれない。
たとしたらスロースターターならずファーストスターターであろう。

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海の風で鍛え上げられた大島桜(オオシマザクラ)

海の風で鍛え上げられた風格の桜が目に入る、そう大島桜(オオシマザクラ)である。
主な分布先は海岸沿いだが、桜の名所にも大抵は見かける。

「そして、これが大島桜(オオシマザクラ)といって、桜餅を包む葉に使用されているものなんだよ」
「えっ、この桜の葉っぱが利用されているんですか」
「うんそうそう、桜餅って好き?」
「はい、大好きです」

その光をよく反射する葉は桜餅を包むのに使われて塩漬けになっているので口にすることも可能、その塩っぽい味は桜餅の甘さでいっぱいになった口の中に良い感じでアクセントをつけてくれる。
葉の香りそのものも桜餅の美味しさもより一層引き出され、この「わびさび」とも言える特有の香りは子供の時から好きであった。

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日本でもっとも多い染井吉野(ソメイヨシノ)

その中でやはり多く目に入ったのは染井吉野(ソメイヨシノ)、この人の名前にも似た桜は、ほとんどの桜のあるところに見かける種類。
名の由来は江戸時代の染井村からの由来とも言われており、日本でもっとも多い種類の桜である。

試しにここらで春花ちゃんに話しかけてみる。
「これって染井吉野(ソメイヨシノ)といって、もっともオーソドックスな桜なんだよ」
「へえー、そうなんですか、よく見かけますよね~」

この桜を目にする機会が多いためか、見れば見るほどオーソドックスな感覚を受ける、おそらく脳内に染井吉野(ソメイヨシノ)イコール桜の方程式があるほどである、他の種類の桜を見ると「桜に似たほかの花?」と想像してしまう。
そう考えると、せっかく桜の名所に来たのだから、染井吉野とは他の桜も是非とも目に焼き付けておきたい欲望が沸いてくる。

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品種改良をされた里桜(サトザクラ)

山桜(ヤマザクラ)が野生であれば、相反するのが品種改良をされた里桜(サトザクラ)となる。
「品種改良」というのもパッとは聞こえは良いがよくよく考えてみれば何とも背徳的な自然の摂理に反する行為である。
まるで人間様が神様にでもなったが如くの行為である、ちょっと暗いイメージとなるが勝手に品種改良をされた方はどのような気持ちだろうか?

とまあ悪い事ばかり考えても始まらないので、良い部分を考えると、やはり保護をされているという点に尽きるのではないのか。
桜に関して言えば「美しい外観」のために品種改良されて、増殖もさせられて全国へ散りばめられているのである。
人間様という神様が改造して、かくまう。変な話である。

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野性味のある名前の山桜(ヤマザクラ)

こうなったら桜だらけの風景に心をダイブさせて現実逃避でもするか。
まず最初に目に入ったのが、山桜(ヤマザクラ)と書かれた名札である。

これまた野性味のある名前である、その名のとおりに山地に広がっている野生の桜である。
なかなかピンクの色合いが強くて桜らしい色をしているのが良い。
桜というと現実では白っぽい桜が多いなか、アニメなどの桜はピンクである、そのような意味では想像しやすい桜であろう。

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