女性陣の中に突入

「やあ、皆さんでトークショーを楽しんでいるようだね、面白い話しありました?」

実は男性と話したがっている疑問を確認するポイントは未だ知ってはいないが、実践で覚えるのみである。

「あっはい、今とても美味しそうなケーキをお披露目してくださってます」
一番に応えてくれたのは、百合さんだ。

ギャルもこちらに視線を向けようとしたが、その視線を遮るような声が聞こえた。
「かわいい」「かわいい~!」
パティシエがトークしながら作っているケーキを見ては、チビ女が「かわいい」を連発する。

「あっほんと!かわいい~」
ギャルの視線がトークショーへと、あっさり戻る。
はあー、女って生き物は一人だと大人しいのに、集まるとこれまた騒ぐ騒ぐ。
特に「かわいい」の連発は定番中の定番だ。

百合さんだけは、視線がこちらのままなので、話を続けてみる。
「あ~、美味しそうだねえ、作り方もトークしてるんだ。百合さんお料理とか上手そうですもんね」
実はこれには、ちょっとした2つのテクニックが仕込まれている。
この言い方だとストレートに「料理をするんですか?」でも別に悪くはないが、ストレート過ぎるので「料理をしそうですもんね」の方が柔らかい印象を与える。
これが一つ目で二つ目は「上手そう」のような褒め言葉を加えることにより、好感度をアップさせるというものだ。

「お料理はよくしますよ、まあ下手なんですけどね」
このように謙遜されると、応えるのに困る。
それに同意をするのも何だし、女の謙遜はそれを否定して褒めて欲しいから、わざと謙遜する生き物だ。
しかし、実際に百合さんの料理を食べたことはない。

「えっ、下手なの?でも自分で下手っていう人ほど上手なんですよね~」
もしかしたら、他の3人に「そんなことないよー」と言われているのを聞かせるための見栄の張り合いのようなものだろうか。

「いえいえ、まだまだ修行中ですよー」
「へえー、特にどんな料理の修行中なんですか、クッキーを焼くとか?」
「えっ、すごーい良く分かりましたよね」
ぶっちゃけ、クッキーは当てずっぽうである、がしかし女が料理をするのは甘いものを選びがちだし、実際にクッキーを作ったことがなくても、「そうなんですよ~」と言いやすいものである。

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Filed under ウォーキングサークルの妄想

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