銀のバックの繊維

帰り道での電車のことだ、座っていたら高級そうで綺麗な白の薄手のアウターを羽織った年配の貴婦人がこちらに向かってきた。
車内の揺れは大きく、貴婦人は名前はよく分からないが赤と紫の長い花束を抱えながら、ふらふらとした足取りである。
この赤と紫という組み合わせが、今考えてみれば妙に妖艶である。
ちょうど、隣が空いていたので、そこに座ろうとしたのだろう、その瞬間に電車が大きく揺れバランスを崩す貴婦人。
足と足が、ぶつかった。がしかし、彼女は特に何の反応もしない。2分か3分かしたら、謝ってきた。おそらく後からぶつかってしまった事に気が付いたのだろう。
花束と一緒に持っていた銀のバックが印象的であった。黒なら皮製とか判断が付くが、なにしろ「銀」である。
そのような繊維の糸でもあるのだろうか。こうなっては、バックそのものよりはそれを構成している繊維の方が気になる。
一瞬、「いいバッグ持ってますね、何の繊維で出来ているのですか?」と聞いてみようかと思ったほどだ。(新手のナンパかっつーの)
自然のものではなく、何らかの合成繊維であろう。それにしても科学的なものでも組み合わせ方によっては神秘的に見えるものである。

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