やっとのことで、さいしょの一歩

黒づくめが、取りなおして説明をつづける。
「おっしゃる通り、この公園の多くある木は、ほとんど常緑樹ですが、一カ所だけ紅葉でなりたっている木があります。」

がしかし、次はオバサンが割りこんできた。
「あーっ!思いだしたー。その一本の紅葉のことなんだけど、もしかしてあれ?なんか毎年の冬期では初回ウォーキングに紅葉を目指して、確か夏期だと一カ所だけなる向日葵の場所だったったけ。そうそう、何かでそう見たような、美由ちゃんは知っていた?」
オーバーリアクションである。
もしかして、さっきから会話に加わってなかった事の鬱憤がたまっていたとか?

「ふーん、そうなんだー」
さすがギャル、リア充は空気が読めるというか、短いリアクションで切りあげてくれた。

「その通りです、夏期の方々の場合は一カ所だけ向日葵のなっている場所となります。さてルートとしては、この噴水より東へすすむと、ぽよぽよ橋の下を通り抜けることになります、ここは雨が降ると雨やどりの人々で混みますが、今日の天気予報では雨がふることはまずないでしょう。」
「橋を通り抜けて10分ほどまっすぐ行くとお花畑があります、いまの時期は花は咲いてませんが春になると黄色やら紫やらで、色とりどりの風景となりますね」
「そこから、南にいきまた、しばらくするっと休憩所があります。ここのベンチからは、ぽよぽよ公園池が眺められますね、コガモ、ユリカモメやオナガガモ、キジバト、ゴイサギ、ムクドリ、メジロ、ヒガラなど様々な鳥類をみれたり、元気な小魚がぴょんぴょん跳ねてたりもして、休みがとれる上、飽きのこない風景になっているのは有名です」
「そして、池から西に進むと展望台が見えます、ここを上がって展望台の上から紅葉の木を見つけて、そこに進むわけです」

それにしても強面ながら、タブレットを器用に操るそのさまは以外だ。

「それでは、早速出発しましょーう」
百合さんの、爽やかな号令のもと噴水前から旅立つ8人。

僕たちはこうして、さいしょの一歩を踏みだした。

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Filed under ウォーキングサークルの妄想

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