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よしっ、ではではさっそく春花ちゃんへデート、いやいやお花見の下見ための待ち合わせについてメールを送ろう。

土曜日の12時にサクサク町駅で待ちあわせ。
そこからサクサク公園まで行き、公園内を散策しお花見をするのに良さげな場所をいくつか探しておく。
そのあとは駅に戻り、電車に乗ってクラクラ公園前駅までいく。
あとはクラクラ公園の中をサクサク公園で散策したように良さげな場所をいくつか探す。
そのころには夕方近くになるので、クラクラ公園前スーパーで商品の品揃えの確認、前もって買い物などをする。

このような内容である。
よくよく本文の内容を確認して、送信ボタンをクリック。
これでの待ち合わせメールが届くはず、春花ちゃんからの返信が今から楽しみである。

いくつかお花見スポットのサイトを見て決まった。
クラクラ公園である。
言うまでもなく駅から近く、大きく品揃えの良いスーパーが目の前にあるというのが決め手となった。

ここが会社で行うお花見としては適切であろう。
桜そのものは正直な話し他の公園と比べては若干乏しいがなんとかお花見としては成立出来る数らしい。
大人数と待ちあわせをして、かつ誘導するには駅に近いのが一番である品揃え豊富なスーパーがあるのも心強い。
逆にウォーキングサークルであれば歩いて公園までの道のりを楽しめるところが適切である。
ついでながらでサクサク公園も調べてみたが、やはり公園の桜は豊富だが、着くまで時間がかかるという感想が多い。
百合さんもその辺をしっかり考慮してサクサク公園にしたのは流石である。

検索結果一覧より、興味深いものを選んでクリック。

お花見の桜だけではなくモミジ、カエデ、イチョウといった秋の紅葉も楽しめるような緑が多く癒しをテーマとしている公園。
夏休みにはお祭りの場となるだけあって駅から近く、大きく品揃えの良いスーパーが目の前にある公園。
春には沢山の桜が咲いている遊園地、列車型の乗り物でぐるりと全体をゆっくり一周して桜を眺めるコース。

このように三つの公園や遊園地が目にとまった。
いまは各駅周辺や公園などの整備が進んでいるので、このように選択肢が結構な数ある。

キーワード欄へ「お花見」と「場所」の単語をスペース区切りで打ち込む。
ここで一呼吸おきながら、去年末のマリネの印象効果の事を思い浮かべる。
複雑な心境の中で検索ボタンを素早くクリックした。
画面切り替えの過程のおいてのモニターの一瞬の真っ白。
この真っ白の瞬間が最も神経が過敏になったが、一瞬なので答えはすぐに出た。

普通にお花見の場所に関しての検索結果の一覧であった。
去年の検索結果一覧のマリネ一色が嘘のようだ、確かに今年にはいってからは印象効果がなくなっていたのは知っているのだが、ここまで難なくいくのも拍子抜けである。

「よし、じゃあ土曜日にしようか」

「分かりました、土曜日のどこにします？」

「そうだね春花ちゃんは、どこかお花見スポットや買い物に便利な場所どこか知っている？」

「サクサク公園とかどうですか？あそこはお花見スポットみたいです」

なにっ？サクサク公園だって、ウォーキングサークルでの次回の活動のお花見と同じではないか～。
一瞬、焦るが表情にださないようにして答える。

「あー、サクサク公園ね。聞いたことあるなあ。一応僕のほうでも他の候補を探しておくよ、あと買い物に便利かというのもあるしね」

「はい、お願いします」

「じゃあ他の場所を調べたりしてからメールするんでアドレス教えてもらえる？」

メールアドレスの交換はなるべく素早くした、別に見られても会社でのイベントの下見なので、まあ構わないけど。

「はい分かりました。私はどちらも空いているので透也さんの都合の良い日で」
春花ちゃんは、微妙に戸惑いながらもハキハキしながら答えた。

デートに限らず週末に遊びに行く場合は土曜日派と日曜日派分けられる。

土曜日派は、アクティブな事は土曜日に済まして、日曜日はゆっくり休んで充電。これでまた月曜日から仕事に集中出来る!
というものだ、社会人生活が長いひとに多い。

日曜日派は、金曜日までの疲れがだるいので家で寛いだり掃除をして、日曜日にぱーっと盛大に遊んじゃおう！
というものだ、新卒とかに多い。
知り合いでの割り合いは7対3で土曜日派のほうが多い。

僕はどっちでも良い派で春花ちゃんも似たようなものだろう。
今回は職場関連なので急用が出来た時に翌日の日曜日に埋め合わせが利く方が無難であろう。

「春花ちゃん、お花見なんだけど、さっそく場所の下見や買うものを決めようと思っているんだけど、土曜日と日曜日だとどっちが良い？」
と思いきって、話しかける。
何気ない一言ではある実は二つばかり戦略が盛り込まれている。

一つめは、場所の下見という仕事の延長線というもっともらしさを最初のほうで、ずばっと強調。

二つめは日曜日空いている？とかの頼む意味での聞くではなく、あたかも行くのが当然の前提としてた感じで土曜日と日曜日のどっちが良い？と聞いているのだ。

そう、ある意味デートである。

心の雄叫びが
“面倒くさいっすよ社長”から”素晴らしい機会をありがとうございます社長！”
へと変化していく心境が自分でも手によるように分かる。

ぶっちゃけデート自体はどうでも良い女性と仲良くなるキッカケというものは、男たるもの人生において最重要なことでもある。

さてそれでは肝心のデート、いやいや会社でするお花見場所の下見や買い物のお誘いはどのようにしよう。
さらりと自然に切りだせればなと思った、事実としては仕事の一環でもあるので、そのような雰囲気でいえば良いであろう。

お花見の幹事を春花ちゃんとすることになった、その日はさすがに仕事に集中出来なかった。
しなければならない事が沢山あるならそれに集中も出来ようが、タスクというものがほぼ手持ちざた状態なのである。
本来は集中で埋められるはずの脳内空間は、いまは上手く春花ちゃんと幹事をこなせるかの事で溢れていた。

決めなけれならない事を淡々とスマートフォンのメモ帳に打ちこんでいく。
開催スタート時間は12時決まっているので、あとは場所と買うものの取り決めである。
とその時、ある事に気がついた。そう気がついたのである。
場所決めの下見や買い物って、当然ながら春花ちゃんとするのである、これってデートだよな？

そして職場につくなり社長が開口一番に「今度の日曜日なんだが会社で、お花見の企画する事にしたんだ」といってきた。
部下達にこんなことをいうのは「花見の場所取り頼んだ」の前兆である。

「日程は4月13日(日)12時からだ、透也君と春花ちゃんとで、段取りしてくれ」

「えっ、僕と春花ちゃんとでですか？」

「そうだ、透也君は週末にウォーキングサークルとやらに行っていると言っていたじゃないか、いい桜のスポットでも知っているだろ？なんならサークル仲間に聞けば沢山出てくるんじゃないのかな」

「まあ、それもそうですけど」

「春花ちゃんは、春の花という名前にちなんでだ、透也君のサポートをきちんと頼んだぞ！」

「はいっ、分かりました。透也さん、よろしくお願いします」

「うん、一緒に頑張ろう」

春花ちゃんは、去年の今ごろに入社してきた事務の子だ。
新卒ではなく中途だがまだまだ年齢も若く素直なところからして新卒の子とあまり変わりはない。