21日の土曜日、カップル達にとっては今日と明日が実質クリスマスのようなものだろう。
結局のところはギャル、チビ女そして百合さんとは映画の話をだらだらするだけで誘うには至らなかった。
言い訳になってしまうかは、分からないけど、これはグループ属性に入っているからではないかと思う。
何人かとの共通の顔見知りだと、どうしても尻込みをしてしまう部分がある。
これがグループ属性に入っていない女性、つまり共通の知り合いがいない場合なら、誘うぐらいなら容易に出来たであろう。
何はともあれ、このまま家に閉じこもっていても仕方がない、家から出て繁華街の方へと歩いていった。
繁華街へ近づくにつれてカップル率が高くなっていく、普段でさえカップルの多い繁華街だが、この日ばかりはカップルの割合が二倍ほどに感じられる。
子供連れの家族の方もかなり目立つ、皆ここぞと言わんばかりに、にやけ顔だが、よくよく観察をしていると中には明らかに作り笑いをしているのもいる。
片方が乗り気でない、浮いているカップルもたまに見かけるが、あれはどういった心境なのだろうか。
こうしたクリスマスの中、同じように一人で歩いている人もいる、この後で待ち合わせをするのか、ずっと一人のまま過ごすのかは定かではないが、自然とお互いに若干避けるように距離をとり擦れ違う。
食事をするために牛丼屋に入ると、2人しか客がいない。
取りあえずは大盛りお新香セットを頼むが、なんだか妙な空気が流れていて気まずい。
クリスマスの牛丼屋は魔境と化す、それは「ああ、僕もこいつらと同じかよ」という落胆、たまに感じる店の外からの視線も「クリスマスに独りで牛丼屋」とあざ笑うようだ。
そして、店内のこの空気である、年に一度だか発生するこの空気。
さらにバレンタインもあるので年に二度だが、やはり「クリスマスの力」はその比ではない。
まるで10分が1時間に感じられるほど時間が長い一日だった。
明日はサークル、そしてリーマンのイベントがある日である、今日の鬱憤を晴らしたい。