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調子にのるリーマンを牽制

そうこう思っているうちに展望台に到着した。
「皆さーん、展望台に着きましたー。ちょうどエレベーターも下についているので、このまま乗っちゃいましょう」
全員で一斉にエレベーターにのりこむ。ちょうど8人がピッタリとおさまった。

それはそれで良いのだが、心境は穏やかではない。
まずい、まずいぞー。俺もなにか自然に誘えちゃうネタがあれば良いが今のところそんなネタなんてない。

あっと言う間に屋上に到着した。
皆がおりたところで、チャンスとばかりに大声を出した。
「おーい、みんなー、真二さんってスゲーぜ。フランス料理チェーン店の本社で働いていて、今度イベントやるんだってよ!ねえ、百合さん」
「はい、パンフレットもいただきましたのよ。今から楽しみです」

リーマンの表情が気づきにくい程度に曇っていくのが分かった。

「まじっすか、フランス料理っすよねー、フランス料理!」
ナイス反応、デブ!
「霧人さんは、沢山食べそうなイメージですよね、それともフランス料理は苦手かな~」
「いや、いや、いや、だいだい大好物っすよー」

オバサンが目を輝かせていう。
「霧人くんは何でもよく食べそうだものねー、みんなで行きましょうよ。真二さん、あと6人分のパンフレットってあるの?」
「いやー、すみません。あいにく今日は百合さんに渡した1枚しかないのですよ、仕事ででる場合は20枚ぐらい常備しているのですが」
「でも、さっき入場料は、ただって仰ってましたよね、ならパンフレットは案内の参考のためコピーすれば済むことですよ、帰りに駅前のコンビニでコピーしましょう。」
すごいぞ、なんだかリーマンを追いつめているし自分たちのイベント参加の口実を作れたし。しかもだ!もしかしたらリーマンの会社の女の子たちとも知りあえるかもしれな
いではないか。

勝利を確信した、そのころに百合さんが仕切りなおすようにいう。
「ではパンフレットは帰りにでもコピーしましょう。屋上についたことですし、さっそく紅葉の木を見つけましょう」

それぞれの方向に8人で一斉に散らばり紅葉の木を探してみる。

「あったー、こっちこっち、あれじゃないのー?」
発見したギャルが、嬉しそうにはしゃいでいた。

「あー、あれです、あれ。ではあの紅葉の木に向かいましょう」
たんたんと案内を進める百合さん。

屋上からの見晴らしの良い景色を見回しながらエレベーターに向かう一同。
8人ともさっとテンポ良くエレベーターに乗り込み、1階へと到着。

そして目的の紅葉の木の方向に向かって行った。

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Filed under ウォーキングサークルの妄想