しかし、こう何というか楽しみにしていたイベントなのだが、話し相手が居ないと時間を結構持て余してしまうものだ。
でも、野郎とは話したくないしなー。
そうだ!スタッフの女性と仲良くなってみよう。
「すみませーん、あのラタトゥーユって何ですか?あのコーナーにあるのが美味しそうなんですけど、どういう料理なのか良く分からなくて」
「はい、ラタトゥーユというのはピーマンや玉葱などの夏野菜を炒めて煮込む、野菜の煮込みです。ズッキーニなどの野菜が中心なのででヘルシーなんですよ~」
「あっそうなんですか、じゃあ食べて見よっと。というか詳しいですね、何処かの店舗で働いている方ですか?」
「私は店舗とかではなくて、本社で企画をしているのですよ~」
「なるほどね。まあ、教えていただきありがとうございます」
ああ、何てことだ。どこかの店で働いているなら次にも繋げられるけど、本社じゃなあ~。
何とか理由をつけて、連絡先を交換しようかと思ったが、他のスタッフの目もあるし状況的には厳しい。
こうなったら、やけ食いだ!とばかりに、ラタトゥーユのコーナーへ足を早める。
思った以上に収穫のないイベントで焦りもあったせいか、このコーナーの事はエノキやシメジといったキノコの入ったバター風味の入りのものを食べた覚えがあるのみである。
よくよく思い出せば味としては、美味しかったが心理的な状況が味覚を麻痺させたのだろう、食べている瞬間はほぼ無味のようなものだった。